1958.03.16 進水
左 原画
右 絵葉書
進水記念絵葉書の原画を描く「船の画家」は、造船所のなかにいます。彼らは本職のかたわら、夜や休日に自宅で絵筆を握り船景を描いてきました。彼らは、設計に使う平面図と側面図を参考に透視図を作り、塗装する色から窓の数・ロープの張り方まで実物と少しの違いもないように描くのです。
原画は船主に記念品として贈られますので、通常の場合、原画は造船所には残らないのですが、本館は宮本三郎氏の描いた原画を数枚収蔵しています。十号キャンバスに描かれた原画と絵葉書を比較し、原画のすばらしさを感じてください。
宮本三郎氏は、昭和2年に進水した砕氷鉄道連絡船亜庭丸から始めて、30年以上にわたり播磨造船所の船景画を描きました。氏が「一番難しいのは海の色と船の走っているときの波の立ち方で、船の大きさ、スピードに応じた波をださないといけないからだ」と語っておられるように、船景画は、船体・航海の様子・航路・季節感というすべての情報を正確に表現したうえで、芸術的に美しいことを要求されます。
本館の展示が、相生で生み出された船景画という芸術作品を後世に伝える一助となればと願っています。鈴木商店が設立した株式会社播磨造船所が、新造船に進出して建造した鋼製で最初の船。絵葉書の社章は、鈴木商店が買収する前、播磨造船株式会社のものです。
1916.05.23 進水 建造番号 2 吉備丸
船主 豊崎昌三郎 貨物船 垂線長 223 呎
重量瓲数 1801 瓲 総噸数 1174 噸
主機関 蒸汽機関 出力 565 馬力 最強速力 8.3 節
鈴木商店が設立した株式会社播磨造船所が、新造船に進出して建造した鋼製で最初の船。絵葉書の社章は、鈴木商店が買収する前、播磨造船株式会社のものです。
1920.04.03 進水 建造番号 13 EASTERN SOLDIER
貨物船 垂線長 425 呎
重量瓲数 10,626 瓲 総噸数 6,818 噸
主機関 蒸汽機関 出力 3,905 馬力 最強速力 13.1 節
鈴木商店傘下の帝国汽船播磨造船工場時代の絵葉書。それまで、鈴木商店の社内船に注力していましたが、対外的に進出するよう方針を変更した最初の船。船鉄交換船として米国へ輸出されました。
1937.01.30 進水 建造番号 222 鷺
船主 海軍省 水雷艇 全長 80.2 米
排水量 595 噸 兵装 12糎砲 3 発射管 3
主機関 タービン 出力 9,000 馬力 最強速力 28 節
1929年に神戸製鋼所から独立した株式会社播磨造船所時代の絵葉書。
鴻型(おおとりがた)水雷艇の1隻です。
1930年代になると、進水記念絵葉書は、船を描いた船景画と、船に関するデザイン画の二枚組をタトウ(封筒)に入れる形式が一般的になります。
1958.09.19 進水 建造番号 523 剛邦丸
船主 飯野海運 油槽船 垂線長 213.0 米
重量噸数 46,736 瓲 総噸数 28,200 噸
主機関 タービン 出力 17,600 馬力
航海速力 16.3 節 乗員 66 名
石油の輸入が増え、タンカーが大型化してスーパー・タンカーと呼ばれた時代の絵葉書。当時、日本最大のタンカーとして盛大な進水式が行われました。
1962.12.15 Launching
Owner Oswego Ocean Carriers Bulk Carrier
Length(p.p.) 220.0 m Deadweight 50,900 long tons
Output 18,700 ps Service Speed 16.5 knots
1960年、播磨造船所は石川島重工と合併して石川島播磨重工業になります。1962年、石播相生は世界最大の建造量を誇る造船所になりました。
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